disorder1971




突き進む力

昨日のこと。
アニキの小説を読ませていただき、感想を述べさせていただいた。
人が色んな思いを込めて書いた作品に対して物を言う、という行為は基本的にとても慎重に行わなければならないと思う。
人様んちの子供さんにああだこうだと注文を付ける行為とほぼ等しいのではないかと考えるからだ。
なのでここはこうであそこはこうしたほうがいい、なんて注文はハッキリ言って余計なお世話だろう。
そういったわけで、単純に感じたままを文字にして伝えた。

基本1話形式でまとめられており、長くても2~3話で1節が終わるような感じだったのでとても感想が入れやすかった。
というかその節ごとに感想が入れられた、という事実は俺はまんまとアニキの小説のファンになってしまっていたのではないか。
後半から最終節に至るにしたがって俺も熱くなり、語気は強めかつ文章量も増えた。
文章にあてられた、もしくはアニキの書くという熱量に乗せられた。
そういってもいいかもしれない。
内容に関する不満など述べたあたりは本当にその物語が好きになったからに違いない。

アニキの筆致は妙である。
妙、というのは奇妙の妙ではない。
これはやはり商業のプロとしての実力がいまだ健在と言うことであろう。
些か筆運びに腐心している様が目に浮かぶシーンも散見された。
だがこれは仕方の無いことかも知れない。
商業の場で書いていた作家がネット小説の異界モノに挑戦するのである。
夢枕獏や菊地秀行といった一線の作家達がジュブナイル物といわゆる「本」の世界を行き来する際にも、比較的往来のしやすいと思われる伝奇小説というジャンルだったにもか変わらず苦労があったとされる。
文章を平たくするという作業は、易しい文章を難解にすることより遙かに難しい作業だろう。

話を簡単にしよう。
例えればクラシックを書く音楽家に、サビでガツンと聴かすキャッチーなポップスを書けといっているようなものだからやはり苦労はするだろうと思う。
だがアニキはひとまず1曲作った。
これは素晴らしいことだと思う。
それがかなり、いやとても良かった。
だからこそ俺は乗せられ、もっともっとと熱い言葉を贈ったのだと思う。

アニキは書く人間だ。
なにか書かないと死ぬ人だ。
アニキの日頃の状態はわずかにだが知っている。
よくあの状態で書き切ったと思う。
文字の制約、枠組み、色々な条件の中物語として成り立つ物を書き上げたというのは凄いことだ。
雨の夜ピザを運んでいた男が、最終着地するまで幾重にも広がったストーリーが一気に収束を向かえる。
そこまでを俺に一気に読みきらせた。
アニキの突き進む力を垣間見た気がした。

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